絶滅したはずのニホンオオカミの遠吠えが、キリシマの森にこだまする!
国内外で高い注目を集めるアーティスト・鴻池朋子の九州初の大規模な個展が幕を開けます。
広大なアートの森は「地上」、美術館内は「地中」、その近隣も含めた展示エリア全体は「キリシマ地球」と名づけられ、観客は旅人となって、マップ片手に作品を鑑賞しながら地球の中心まで旅をします。人間の心を地球という惑星として捉え、想像力でその深遠まで旅をするのです。
地上では、時を告げるオオカミの遠吠えが響き渡り、オオカミの化身である“12匹の詩人”が「子どもの脚」という姿で、森の巨大な梢、望遠鏡の中、さらには、硫黄の煙が立ち登る栗野岳温泉・八幡大地獄の中にその姿を潜ませています。美術館内は地球の中。 物語絵画、神話的アプローチの襖絵、六本脚のオオカミ、ミミオという独自の生きものが登場する絵本、アニメーションなど多角的な表現方法によって内なる地球が展開します。そして、細い洞窟を抜けるとそこは地球の中心。 創造と破壊のうぶ声をあげながら回転する巨大な「地球の赤ん坊」が、大量の光の粒を館内にまき散らし旅人を待ち受けています。
森の「地上」と美術館の「地中」を移動する旅人の心には摩擦が起こり、豊かな想像力が喚起されます。展覧会エリア全体に仕掛けられる、かつてない壮大な「遊び」によって「キリシマ神話」という新たなる物語の扉が今、開かれようとしているのです。