芭蕉は、日本を代表する詩人であり、その著『おくの細道』もまた今日、国際的に通用するわが国を代表する紀行文学作品といわれています。2009年は、芭蕉研究の権威岡田柿衞の俳諧コレクションを核として成立した柿衞文庫の開館より25年、そして芭蕉の「おくの細道」の旅から320年を数えます。柿衞文庫ではその記念として、「新しみは俳諧の花」と主張(『三冊子(さんぞうし)』)し、常に作品に新しみを獲得せんと自身や門弟たちに詩精神を磨くことを求めた芭蕉、そして時代を超えて現代にもなお刺激を与え続ける芭蕉と、その作品が放つ魅力をさぐります。芭蕉の魅力に自らの制作への啓示を享け、次代へつなごうと試みる者たちの作品とともに。