写真の誕生から170年が経ちました。この展覧会では、タルボットやダゲールなど写真草創期の作品に始まり、バルビゾン派や印象派に多大な影響を与えた写真、逆に絵画から影響を受けたピクトリアリズムと呼ばれる写真、そして、写真の独自性を追求しながら展開してきた現代の写真に至るまでの流れを辿ることにより、写真という芸術の多様性や広がりを感じていただけるものと思います。
それとともに、写真草創期と同じ頃に描かれた絵画にはじまり、バルビゾン派や印象派を経て現代に至るまでの絵画の歴史を概観しながら、印象派の誕生にあたって、写真が果たした大きな役割を認識することができます。マネやモネ、ドガといった画家たちは、時間の流れのなかで変転する風景の煌きや人々の一瞬の表情を捉えた輝かしい作品を残しましたが、こうした印象派の巨匠たちが生まれるには、写真が大きく関わっていたのです。
絵画と写真。この二つの芸術は、ときに寄り添い、ときに反発しながら歩んで来ました。二つの芸術の歩みを辿りながら、それらがどのように関り合い、どのようにインスピレーションを与え合うことによって、それぞれの芸術を深化させていったかを検証します。絵画と写真が出会うことによって、一体何が起こったのか。この展覧会を通じて、ぜひ、その秘密を解き明かしてみてください。