私たちにとって身近な存在である漆。陶磁器をchinaと呼ぶのに対して、漆器をjapanと呼ぶこともあるほど古くから日本人の生活に根付いています。しかし、神奈川県に伝わる讃岐漆芸の漆器は他の産地の漆器に比べて市場に出回る機会が少なく、一般にはあまり知られていません。黒字に金彩の文様を基調とする他の産地の漆器とは異なり、讃岐の漆器は赤、黄、緑をはじめとした華麗な色彩表現を特色としています。
本展でご紹介する北岡省三、松原弘明、廣田洋子3氏の作品は、香川県特有の堀漆という技法によって作り出されています。100回塗ってやっと3mmの厚さになるという色漆を何層にも塗り重ね、文様を彫刻刀で彫り、研ぎ出すことによって生み出される清緻で華麗な讃岐うるし。本展では3氏の新作を含む約120点(予定)を展示します。伝統の技とモダンなデザインが融合した新しい漆芸の魅力をご堪能下さい。