漆の樹液を材料とする工芸を漆工といいます。日本で漆器といえば、黒光りする器に金粉を使って絵を描く蒔絵などがイメージされますが、古くから中国・朝鮮半島・東南アジアにおいても漆器は作り用いられていて、しかも同じ漆を材料としながら、各地に独特の技法や表現があります。この特集では、中国の漆工を紹介します。中国には赤・黒・黄などの色漆を利用して、厚く塗り重ねた漆に文様を彫刻する彫漆、貝片を組みあわせて文様を構成する螺鈿、線彫りした文様に金箔をしずめる鎗金などといった技法があります。これらの技法を駆使して、皇帝のシンボルである五本の爪をもつ龍、うず巻きのような唐草、絵画のような花鳥や人物や宮殿が表されます。じつに多彩な中国漆工のオンパレードをご覧ください。