絵画の楽しみ方には、いろいろな方法があります。もちろん、絵のモチーフや構図、色彩など、作品そのものに即して鑑賞するのが、第一の方法でしょう。しかしそれだけにとどまらず、その絵が描かれた時代や地域、状況など、興味は様々に広がっていきます。そしてそのような興味は、当然画家に対しても向けられるでしょう。どのようにしてこの絵が描かれたのか、その素晴らしさの秘密や創造の源はどこにあるのか、等々。たとえば画家が使っていたパレットを通して、そのような秘密の一端を垣間見ることができるかもしれません。パレットを見れば、その上で絵の具を混ぜ合わせて使っていたのか、あるいはカンヴァスの上で直接混ぜていたのか、というようなことも分かります。絵だけを見ていたのでは気付かなかった、新たな側面を知ることができるでしょうし、別の興味や感動を得ることもできるでしょう。
本展は、笠間日動美術館所蔵の絵画とパレットに、当館所蔵の地域ゆかり作家の絵画を加えて60余点の作品で構成します。国内外の著名な画家たちの絵画に加えて、そのパレットを通して新たな魅力を発見することができるでしょう。またゆかり作家のパレットを通して、より一層の親しみを感じることができるでしょう。