本年より一年に一度、芦屋市内で制作活動を続け、地元で美術の普及活動に携わってきた作家を紹介するシリーズ「芦屋市民ギャラリー」を催すことになりました。その第1回目として「井上正三水彩画展」を開きます。井上正三(いのうえ・しょうぞう、1944年大阪生まれ)は、1988年に創元会に初入選後、芦屋市内で油彩画を中心に発表を続け、1994年からは水彩画を精力的に描き始めました。翌年には、それまでに描きためていた画帳から、阪神淡路大震災で失われてしまった景観を選び、絵はがき「風のたより」シリーズとして初出版、以後現在に至るまで主に阪神間の風景を題材にした水彩画を手がけています。それらの多くは絵はがきや阪神間各市広報誌の表紙絵として採用され、2008年にはそれまでの集大成として画集『風のたよりに彩りをそえて』を日貿出版社から刊行しました。また制作と並行して、地元で絵画教室の講師を積極的に務め、現在はJR西日本ジパング倶楽部の絵画講座を担当しています。
本展は、2005年以降描いた阪神間や近年訪れたヨーロッパの風景を中心に約30点を展観することによって、井上の穏やかで親しみやすい透明水彩の表現を存分に味わえる好機となるでしょう。