写真家のヴィジョンと暗室技術のマジック、ダイトランスファー
これ以上美しいカラープリントはもう存在しない。
久保田博二は、写真家集団マグナム唯一の日本人メンバーとして、40余年にわたり多くの国々を取材してきました。なかでも「アメリカと日本」「アジアと日本」は、久保田の重要なテーマとなっています。
本展の第一部では、1978年から2003年までの間の膨大な作品の中から厳選し、約15年にわたってダイトランスファー・プリントという技法で制作された作品48点のほか、「20世紀最後の年にどうしても発表したかった」と1999年に上梓した写真集『アジアの食料』から選んだ作品35点を第二部にて展示いたします。
食の安全をはじめ、食料のサステナビリティは、私たちが現在直面している大きな問題ですが、久保田は21世紀の最大の問題は<食>となると考え、20世紀を終える前にどうしても取り組むべき問題としてアジア各国の取材を敢行しました。アジアにおける<食>をどのように捉えたのか ー アジアの、そして人類の明日を見据えたフォト・ジャーナリストの視座をご覧いただきます。