本展覧会は、北九州市立美術館開館35周年記念展覧会に先立ち、国内有数の美術蒐集家として知られる福富太郎氏所蔵作品(福富太郎コレクション)の中から、近代美人画の巨匠鏑木清方の作品23点を中心に、東西の選りすぐりの美人画を集めた展覧会である。
展覧会の中心作家、鏑木清方(1878-1972年)は,上村松園(1875-1949年)と並ぶ近代美人画の巨匠である。清方は東京・神田に生まれ、13歳で浮世絵師水野年方に入門、16歳頃から父親が経営していた「やまと新聞」に挿絵を執筆するなど、プロの挿絵画家として活躍していた。1901年には仲間とを結成し、本格的に「本絵」の制作に取り組み始め、東京の下町風俗や気品ある美人画を終生描き続け、1954年、文化勲章を受章している。
本展覧会では、清方門下の伊東深水や寺島紫明のほか、上村松園、池田輝方、池田蕉園、北野恒富、竹久夢二ら明治、大正、昭和を代表する作家の描いた美人画を紹介する。
各々の作品には、芝居や伝説に取材したドラマチックな女性たちの姿や各時代の生活、風俗のにじみ出た女性像などが描かれ、時代を超えてなおも生き続ける女性たちの美を見ることができる。それぞれの時代が育んだ東西の美人画を通して、時代を超えた女性の美を堪能する展覧会である。