小林かいち(本名:嘉一郎、1896~1968)は、近年注目されつつある京都の図案家です。1920~30年代にかけて、はがきや封筒のデザインを数多く手がけました。木版によるそれらの作品は、ピンクやブルーの独特のグラデーション、赤と黒などの明快な色の対比の中に、女性像やハート、植物、月や星、トランプや十字架などを配したモダンなもので、現代にも通用する色彩感覚、デザイン力といえるでしょう。
本展は、かいち作品の常設館である伊香保保科美術館の全面的な協力を得て、かいち芸術を東京で大々的に紹介する初の展覧会となります。約300点の作品を通して、いまだに謎の多い小林かいち研究の進展に寄与するとともに、多くの人に、未知の作品との出会いの場を提供できれば幸いです。