史跡・称名寺境内は、鎌倉時代を代表する浄土庭園として有名です。昭和53年度より横浜市教育委員会によって行なわれた発掘調査の結果、元亨3年(1323)の「称名寺絵図」に描かれた苑池や伽藍が実在したことが証明されました。横浜市では、その成果をふまえて庭園の整備を進め、昭和62年に反橋・平橋が復元され、整備事業が完成しました。
称名寺庭園は、金沢文庫に保管する称名寺伝来の古文書や文化財によって、造成の過程があとづけられることから、日本の庭園史のなかでも貴重な存在として注目され、登録推進中の世界遺産「武家の古都・鎌倉」の構成要素ともなっています。
このたび、両橋のかけ替え工事が完成したことを記念し、称名寺の庭園と伽藍の形成と変遷を示す文化財を一堂に展示し、この史跡が有する価値に脚光をあててみたいと思います。