本展覧会は、ドーム社の創業130周年を記念し、同社が創業から今日まで、飽くことなく追求してきたガラス芸術を紹介するものです。アール・ヌーヴォーのガラスを愛する日本の人々に、伝統を受け継ぎながら今日も革新を続けるフランスのガラスの魅力を紹介します。展示作品は、同社の130年の足跡を物語るガラス作品約100点です。その中心となるのは、1968年以降、同社がアール・ヌーヴォー期の高度な技法である「パート・ド・ヴェール」を復活させ、多彩なアーティストとのコラボレーションによって生み出してきた作品です。本展覧会は、それらが日本国内でまとめて紹介される初めての機会になります。
また、3階常設展示室では、瓦とガラスを同時に展示する「―炎による造形―瓦とガラスの邂逅」と題した特別企画を同時開催いたします。ガラスと瓦は、一見するとまったく異質のものですが、どちらも炎による造形であるという共通性があります。また、ガラス王国ロレーヌの中心都市ナンシーを本拠地とするドームのガラスも、窯業王国愛知のなかで高浜を中心に育まれてきた三州瓦も、風土に根ざした伝統産業を地域文化として継承し、ともにさらなる創造を続けています。一方、モチーフという観点から見ると、ドームのガラスの特徴の一つである、東洋的自然美や古代東洋の造形美の世界と、日本を含む東アジアの古瓦に用いられた蓮や唐草などの文様には、それぞれ、東西文化の交流と相互の影響を見ることができます。そこで今回は、ここ高浜の地において、ドームのガラス作品と当館の瓦コレクションを、同一空間で鑑賞できる特別展示を試みます。