画家・相笠昌義は、「人間を描くことが一番好きです」と宣言している。自分の家族を含め、「日常のごく当たり前の生活」を描くことが、自らができる「現代を見つめる唯一の方法」とも語っている。
氏は、自ら画家としての拠って立つべき視点をこのようにきわめて明確にした上、絵画作品を制作してきた。芸術家としての真摯な姿勢が窺われる。
1939年東京日本橋生まれ。1962年東京芸術大学卒業。1979年、文化庁派遣芸術家在外研修員としてスペインに滞在、芸術選奨文部大臣新人賞受賞、1982年第25回安井賞受賞。
1960年代半ばごろから活躍。当初、《文明嫌悪症》シリーズの版画やコラージュで注目される。その後、1970年代から《時間差計画》シリーズを発表、油彩画分野でも活躍。《日常生活》を大きなテーマに掲げ、一貫して新しい具象絵画を追求している。油彩画と版画の代表的な作品、約120点を紹介。