20世紀初め、ロシアはいまにも爆発しそうなエネルギーにあふれていました。帝政への不満と不穏な世情、高まる革命の機運。若い芸術家たちは古い芸術を否定し、自分たちの時代の新しい芸術を生みだそうとします。西ヨーロッパのマティスやピカソなど、最先端の絵画を学ぶ一方で、ロシアに根ざした民衆芸術の素朴な力強さも取り入れます。かれらがめざした芸術革命から生まれたのが、マレーヴィチを代表とする抽象絵画でした。1917年、社会主義革命が起こると、若い芸術家たちは革命の時代を駆け抜けていきます。絵画ばかりでなく、デザインや演劇、建築と広い分野で活動した彼らは、後に「ロシア・アヴァンギャルド」と呼ばれました。この展覧会は、革命をはさむ約30年間の絵画動向を、モスクワ市近代美術館が所蔵するマレーヴィチ、D・ブルリューク、ラリオーノフ、エクステルらの作品でたどります。また、日本でも人気の高いグルジアの画家ピロスマニがまとまって見られることも貴重な機会となります。