アジアとヨーロッパの人びとは、自らをどのようにとらえ、お互いをどのように受け入れてきたのでしょうか。本展では、その認識のうつりかわりを、肖像画や彫刻、写真や陶器など、さまざまな美術作品における人体表現のなかにたどります。
日本の歴史をふりかえってみると、南蛮屏風から近代の油絵まで、わが国の芸術文化は、つねに西洋文化との関わりのなかにあったといっても過言ではありません。もちろん浮世絵版画が19世紀のジャポニスムを生み出したように、西洋人を魅了した日本文化もありました。
一方、今日の世界は、かつてなく近くて狭い存在となりました。現代の美術においては、他者とは、遠い異国の地に住む見知らぬ人々ではなく、自分の隣にいる人、そして自分自身のなかに存在しています。美術作品における人間像とは、このように、人と人との出会いの記憶と、人が人に投げかけるまなざしが、「ひと」を描くという行為の痕跡として結実したものだといえるでしょう。
本展は、アジアとヨーロッパ18ヶ国の博物館、美術館が共同で作り上げた国際巡回展で、大阪では国立民族学博物館との同時期開催となります。美術館と博物館、アジアとヨーロッパの垣根を超えた共同企画によって見えてくる、新しい世界の姿をぜひご堪能ください。