今回初めて日本への出品が許可され、特別公開されるルネサンスの巨匠ボッティチェッリの《聖母子と天使》は、フェッシュ美術館が世界に誇る至宝です。ボッティチェッリが22~25歳頃に描いた初期作品で、幼いイエスとマリアがふれあう姿や彼方の一点を見つめる天使のまなざし、三人を照らす穏やかな光の描写には、後に《春》、《ヴィーナスの誕生》などの甘美で洗練された大作を世に送り出した才能が現れています。
フェッシュ美術館は、皇帝ナポレオン1世の母方の叔父であるジョゼフ・フェッシュ枢機卿のコレクションを基礎として、ナポレオンの生地コルシカ島のアジャクシオ市に設立された美術館です。現在、フランスにおいてルーブル美術館の次に多くのイタリア絵画を持つといわれているフェッシュ美術館ですが、最も充実した内容を誇っているのが17世紀・18世紀のイタリア絵画です。
この展覧会では、ボッティチェッリ、ジョヴァンニ・ベッリーニらルネサンス期の聖母子図に始まり、17世紀・18世紀のバロックからロココに至る宗教画、世俗画、風景画、静物画、そしてカノーヴァら当代随一の芸術家によるナポレオン一族の肖像作品等、フェッシュ美術館選りすぐりの約80点のコレクションをご紹介します。(皇帝ナポレオン1世のデスマスク、彼が終生愛用していた銀のスプーンなどの珍しい資料もお見逃しなく)
イタリア美術の珠玉の作品と、華麗な皇帝ナポレオン一族の姿にふれるまたとない機会です。イタリアとフランスのアートの競演をお楽しみください。