おかげさまで、私どもたばこと塩の博物館は、本年 11月3日に開館30周年を迎えます。今回は、30 周年を記念する特別展の第4弾として「近世初期風俗画 躍動と快楽」を開催します。
本展で取りあげる「近世初期」という時代は、中世を脱し近世へと大きく変化した時期(16世紀末~17世紀中頃・慶長~寛文頃)のことで、たばこが日本に伝来し、流行・普及していく時期と合致し、当館が常に注目してきた時代でもあります。今回は、その変化の時代を活き活きと描いた近世初期風俗画の名品(屏風)を一堂に集め展示します。作品としては、庶民風俗を主題とした遊楽図(邸内・野外)、洛中洛外図、歌舞伎図、四条河原図などの作品が中心となります。この時代から、絵画の主題に躍り出た名もなき庶民達の躍動と快楽の姿は、等身大の人間美(姿の美しさ)を表現しています。
さらには、時代や風俗の変容、絵画様式の変化といった従来の視点のみならず、背景などから読み取れる情報もお伝えします。また、コンピューターを使用し、展示替えの都合でご覧になれない作品を含めご覧いただいたり、作品の部分拡大などご自身で操作して、楽しみながら鑑賞できる仕掛けも用意いたしました。迫力ある大画面をお楽しみいただくとともに、作品の細部に目を向けていただき、新しい発見をしていただければ幸いです。