妙心寺は、建武四年(一三三七)に学問に熱心で、禅宗に深く帰依した花園天皇(一ニ九七~一三四八)が自らの離宮を改めて禅寺とし、関山慧玄(一ニ七七~一三六〇、諡号・無相大師)を開山に迎えたことにはじまる京都の名刹です。その後、皇室・公家、あるいは細川氏をはじめとした諸大名の帰依を受けるともに、全の庶民普及にも力をいれ、幾多の名僧を輩出し、わが國の禅宗史を語る上で、欠かすことのできない重要な寺院です。
それを物語るように、妙心寺には歴代名僧の頂相(肖像画)や墨跡・袈裟、海外より舶載された諸文物、室町時代から江戸時代までの狩野派をはじめとする有名画師による豪著な障屏画、白隠慧鶴(一六八五~一七六八)ら近世高僧の活動を伝える墨跡・禅画などが残り、各時代に花開いた禅文化のすがたを今に伝えています。
本音tンは開山無相大師六五〇年遠諱にちなみ、本山および塔頭の国宝、重要文化財を含む名宝を中心に、質・量ともにこれまでにない規模で妙心寺の歴史と文化について紹介するものです。