本展では、三国時代から朝鮮時代末期までの作品21点を展示します。灰陶からはじまって青磁、白磁、粉青などがあり、器形も変化に富んでいます。また文様も草花文や動物文などが展開し、韓国陶磁の魅力を網羅しています。このなかには、世界で2点しか確認されていない18世紀前半の著名な「青花面取壺」(浅川巧旧蔵)も一点含まれています。 日本では、古代においてすでに朝鮮半島の南部から須恵器の技術を受容していますが、これは、丈夫な実用の器として受け入れたものでした。それにたいして16世紀後半の安土桃山時代には、茶人たちが高麗茶碗を「発見」し、その質素なたたずまいにつよく惹きつけられます。
近代に入ると、大正から昭和の前期にかけて、朝鮮時代の陶磁のブームが起こります。実用的なやきものでありながら、いささかゆがんではいても素直で温かなその姿、庶民的な生き生きとしたその文様が、あらたに多くの人々を虜にしました。その先駆者の一人が、民芸運動の提唱者として名高い柳宗悦です。彼は、そのころまだ一般には評価の低かった朝鮮時代の陶磁に、この時はじめて芸術的な価値を認めたのでした。 今回の展示は、すべて当館へのご寄贈品によって構成されています。そのひとつひとつに、韓国のやきものに魅了された人々の思いが込められ、さらに当館に対するご好意が現われていると言ってよいでしょう。本展を通して、みなさんもそれぞれに韓国陶磁の魅力を発見されることを願ってやみません。