私は、現在手漉き和紙に墨を用いてドゥローイングしている。そして、素材である和紙の美しさを損なわず生かすよう心がけている。素材選定の主たる要因は、「記憶」「潜在意識」である。表現の手法は、それまでの制作の「経験」からくる問題意識「描画行為の純化」を目指した。その結果ミニマルになり、「素の美」「素材の美」が表出するものとなった。このことは、日本人に共通する「民族的美意識」につながるところがある。そして私は、自分の追求する問題が「個」と「集団」、「民族主義」と「グローバリズム」この相反する問題と共通する研究課題と考えている。これらは、現代における重要で世界的な問題であり「同時代的問題」であると考えている。