現代陶芸の偉大な改革者の一人として国際的にも高く評価され、日本にも大きな影響を与えてきたイタリアの巨匠、カルロ・ザウリ(1926-2002年)の没後初めての回顧展を、ザウリが居住し、スタジオを備えて創作していたファエンツァ市との国際交流展として開催します。
マジョリカ焼の産地として知られるファエンツァは、フランス語で陶器を意味するファイアンスの語源ともなった古くからの陶都です。ザウリはその地で生まれ、生涯同地を拠点に捜索を行いました。1950年代初頭から精力的に発表活動を展開したザウリは、世界で最も規模の多きファエンツァ市主催の国際陶芸コンペで三度のグランプリ受賞をはじめ、世界各国の公募展でも入賞を重ねるなど国境を超えて活躍し、その存在を揺るぎないものとしてきました。とくに、1200度の高温焼成による独自の釉薬「ザウリの白」を纏ったダイナミックな作品は、ザウリの存在を広く知らしめました。またザウリは、、タイルのデザイナーとしても一時代を築くとともに、多彩な才能を発揮して、デザインやリトグラフ、ブロンズなど、陶造形いがいの制作面でも高久評価されています。
本展はこれまで余り知られていなかった作品から、1950年代の初期のマジョリカ作品から、「ザウリの白」と呼ばれた60~70年代の代表的な作品、さらには、80年代に制作した釉薬を用いない黒粘土による挑戦的な作品を中心に、タイルやデザインの仕事まで、ザウリの非凡な才能を知る多彩な作品を通して、1951年から焼く40年間の芸術活動の軌跡をたどります。