周囲を海に囲まれた日本に暮らす私たちは古くから海に深くかかわり、豊かな海の恩恵を受けながら生活しています。しかし多忙な現代社会に生きる多くの人々は、ともすればこうした海とのかかわりを忘れがちです。
「日本の海洋画展」は優れた海洋画を通じて、海や海に生きる人々を身近なものとして見つめ直し、海や船、環境問題などに理解を深めていただきたいとの願いを込めて東京で毎年開催されている展覧会です。北九州市では昨年に引き続き2回目の開催となります。
本展では各会派・団体の枠を超えた、海に関心をもち、海に共感する現代画家の海洋画50点に、二科会と独立美術協会の雄として活躍した福岡出身の洋画家・児島善三郎(1893~1962年)の特別出品作品8点を加えてご紹介します。表情豊かな海洋画の世界をお楽しみください。
<特別出品作家の紹介>
※児島善三郎 1893~1962年 福岡県博多出身
福岡市に生まれた児島善三郎は、日本独自の油絵を作りあげようと奮闘した洋画家です。ヨーロッパ留学からの帰国後、日本の洋画がフランス美術の形式的模倣に陥ることを危惧し、二科会を脱退して有志とともに独立美術協会を創立しました。善三郎は日本的な油彩画の創造に情熱を傾け、繊細な色感と独特大胆なデフォルメによって作品を描きました。生涯だれにも師事せず「孤高の画家」とも称されましたが、安井曾太郎、梅原龍三郎を嗣ぐものとしてその画業は高く評価されています。