この度、レントゲンでは2年ぶりとなる藤芳あいの個展を開催いたします。
「見えないものの境目が見たい」藤芳あい(1975年生まれ)は、そうしたオブセッションを視覚化する作品を制作、
一昨年、大作「Swimming Pool」をひっさげ、六本木ヴァイスフェルトでデビューしました。
美しい青色の樹脂で作り上げられた「プールにたたえられた水」はその大きさと重量から
コンプレックスビルの階段を通過出来ず、展示のために画廊の奥壁を解体、クレーンで搬入され、
静謐ながらダイナミックな展示は評判を呼びました。
同作品は展覧会終了後横浜美術館でのグループ展に急遽推挙され、その後個人蔵となっています。
この作品制作に於いては、高額の制作費を捻出するためにファンドを設置するという試みも行われ、
けして派手ではないながら様々な話題を提供した展覧会でした。
それから二年、こつこつと製作を続けて来た藤芳が、水の次に見つけたモチーフは、植物の根でした。
存在とその重要性は明らかでありながら、通常は見る事が出来ない、見えている状態であるならば
それ自体が機能しないという、視覚と存在の並立の不能に、製作の根幹である
「見えないものの境目が見たい」という欲望が投影されています。
今回ラディウムを飾るのは、天井から吊り下げられる大型の樹脂による彫刻と
新作ペインティングです。
二年振りの藤芳あいの個展、是非ご期待下さい。