臨済宗中興の祖と讃えられる江戸時代中期の禅僧、白隠慧鶴(1685~1769)は、数多くの書画を遺していることでも知られています。大胆な筆遣いは見る者を感嘆させると同時に厳しさを秘め、ほのぼのとした味わいの戯画は一方でどこか教えさとすような謎めいたものがあります。このような白隠の書画は、生きることの意味や禅への関心のみならず、アートとして見る現代的な視点も相俟って、いま、老若を超えた多くの人に注目されるようになっています。そしてまた、弟子たちも白隠を継いで、書画を通じて人々に語りかける営みを続けました。
本展では、白隠とその弟子の東嶺円慈(1721~92)、遂翁元蘆(1717~1789)の書画、52点を、前期・後期に分けて展示します。尚、永青文庫の設立者である細川家16代、細川護立(1883~1970)と白隠との関わりを紹介するコーナー展示も設けます。御高覧いただければ、幸いです。