灰釉に改良が加えられ、進化を遂げた青磁釉。1200℃以上の高温で還元炎焼成すると、灰に含まれるわずかな鉄分が発色し、深みのある明るい青色または緑色を呈します。さらに胎土に含まれる鉄分も釉の呈色に影響するため、陶器質・磁器質・半磁器質とそれぞれ用いられる胎土の性質やその調整しだいで、明暗の異なった釉調が表れます。
青磁はまた、釉層に含まれるおびただしい大小の気泡や鉱物細片によって、複雑に反射する透過光に観応して知覚されるため、光源の種類や光線の状況といった鑑賞するときの環境にも左右されるほどです。古来中国で玉の肌合いにたとえられてきた青磁釉の美感は、東アジアにおける陶磁制作の本流をなし、精品の数々を生み出しました。
今回は青磁の釉色に焦点をあて、その淵源とされる灰釉陶器から現代における陶芸作品まで、優美で深みのある色彩を妙味を紹介します。