20世紀フランス絵画の巨匠アンリ・マティス(1869-1954)とピエール・ボナール(1967-1947)。19世紀末から20世紀始めの時代、かれらはそれぞれに新しい絵画を求めて、マティスはフォーヴィスムの運動、ボナールはナビ派の運動に積極的に関わっていきました。そうした試みを糧にして、自分自身の絵画を見出していったふたりは、絵画への信頼と愛を共有して、それぞれの仕事を深めていくとともに、互いの存在を認め合いながら交友を続けました。後半生をともに、透明で輝かしい光が溢れる南仏の地中海沿岸に暮らし、制作に没頭したマティスとボナールが、絵画で何を目指していたのか、何を成し遂げたのか。この展覧会ではそのことを、ふたりの優れた作品を比較しながら見るとともに、大画家同士の友愛に満ちた交友のさまにも光をあてていきます。
本展では、20世紀絵画の中できわめて高い評価を受けてきたふたりの仕事を花器の7つの章に分けて振り返り、国内外の所蔵家、美術館の協力のもと油彩、水彩、素描、版画など約120点を出品します。彼等の作品を堪能するとともに、ふたりの成熟した絵画の響き合いをお楽しみいただければと思います。