名古屋生まれで、その生涯のほとんどを名古屋で過ごした故杉本健吉画伯の画業はとても幅広いものがあり、ヨーロッパ写生もその一つです。
初めて海外にスケッチ旅行に出られたのは、杉本画伯57歳、1962年のこと。以降は毎年のようにヨーロッパ各地に写生に出かけた時期もあったほど、多くの作品を制作されました。
57歳にいたるまでに国内でしっかりとした基礎を確立し、そして海外へ。1962年は、杉本画伯にとって、あらたな分野への挑戦と確立のはじまりでもありました。ヨーロッパ各地の写生作品には、若い頃の作品こそありませんが、杉本画伯独特の円熟味をおびた画風を感じ取っていただけるのではないかと思います。
同時に、期間中は特別企画「水の風景」と題して、杉本画伯のライフワークであった水面の風景や、水中の幻想的な心象風景の作品を展示します。
あわせてご鑑賞いただければ幸いです。