斎藤清(1907~1997)は近代日本を代表する版画家のひとりです。斎藤は福島県に生まれ、24歳の時画家を志して上京、はじめ白日会や国画会などへ出品し洋画家としてスタートを切りました。それを版画の道へと導いたのは29歳の時に出会った安井曾太郎の一枚の版画でした。それまでの油絵に比べ版画が新鮮に思えた斎藤は、早速家に帰って初めての版画作品を制作し、ほとんど独学で制作を続けます。その努力はやがて1948年(昭和23)第1回サロン・ド・プランタン展の一等賞受賞、1951年(昭和26)第1回サンパウロ・ビエンナーレ展の在サンパウロ日本人賞の受賞という形となって現れました。国際的版画家として一躍脚光を浴びることとなった斎藤は、その後も多くの展覧会で受賞を重ね、1995年(平成7)には文化功労者に選ばれるのです。そしてその2年後故郷会津で90年の生涯を閉じるまで、制作への熱い情熱が消えることはありませんでした。
斎藤清の生誕100年を記念する本展では、福島県立美術館の所蔵品を中心に木版画、アクアチント、コラグラフ(コラージュ・グラフィックの略)、ドライポイントなどの様々な技法と、ライフワークの〈会津の冬〉シリーズをはじめとする幅広いテーマの約150点の作品により、斎藤清芸術の全貌をご紹介いたします。