スイスのペーター・メルクリと日本の青木淳このふたりの建築家の間に直接的なつながりはありません。けれども、絵画や彫刻を強くリスペクトしている点では共通しています。
だからでしょうか、それぞれが設計した《彫刻の家》と《青森県立美術館》という美術館は、いずれも、作品と厳しく対峙する空間を持っています。また、ふたりとも、かわいい雰囲気が大好きなのに、とてもクールな建物につくるという点でも似通っています。
本展は、そんな彼らが、頭の中にあるアイデアにかたちを与えていくプロセスに注目します。では、なにが展示されるのか?
チューリヒからは、プロジェクトとは関係なくメルクリが描く膨大なドローイングの中から選ばれた約300枚と、《ノヴァルディス・キャンパス・ヴィジターセンター》(2006年竣工)のためにつくった愛らしいスタディ模型14点がやってきます。また彼に影響を与えた彫刻家ハンス・ヨゼフソンの作品も、小品2点が特別に展示されます。そして東京からは、青木が目下設計している住宅《M》のためにつくられた100個を超えるスタディ模型がやってきます。これらのオブジェクトが空間を埋め尽くすことで、ふたりの建築家の共通点と相違点とが生々しく伝わってくることでしょう。
「建築がうまれる」とき、いったいなにが起こっているのか会場で感じていただければ幸いです。