寛政3年(1791)6月11日、江戸城吹上御庭で、第11代将軍徳川家斉の上覧相撲が行われました。当時の相撲界は、谷風梶之助と小野川喜三郎が覇を競い合い、強豪力士の雷電為右衛門も登場し活況を呈していました。そうした折りに、幕府の最高権力者である将軍が相撲を観戦し、成功を収めたことは、相撲界にとって大きなできごとでした。将軍が観戦するに足る格式を相撲が持っていることが公に認められたからです。この上覧相撲の評判により、相撲の人気はいっそう高まりました。
相撲の隆盛に大きな役割を果たした将軍の上覧相撲は、寛政3年を含めて7回行われています。今回の展示ではそれぞれの上覧相撲で結びの一番を務めた力士に関する資料を中心に、上覧相撲の様子についてご紹介いたします。