愛媛県出身のイラストレーター真鍋博という名とそのイラストを、星新一の作品とともに覚えている方も多い事でしょう。
真鍋が、SF作家として知名度をあげていた星新一の作品にはじめて挿絵をつけたのは、「おーい、でてこーい」(『宇宙塵』、1958年)でした。その後、星の単行本3冊目となる『悪魔のいる天国』(中央公論社、1961年)の装幀と、ショートショート全36編全てにつけた挿絵を担当し、二人のコンビは決定的なものとなりました。以後、星の1000編を越えるショートショートのイラストの約3分の1を真鍋が担当することになり、和田誠と並んで、星の作品に真鍋のイラストは欠かせないものとなりました。「真鍋博さんの絵に文章をつけている星です」という星新一の自己紹介に象徴されるように、星の洗練された小説と真鍋の都会的な作風は分かち難く結びついています。
当館では、本年度1年にわたり、真鍋博を取り上げてきました。最終回となる今回は、昨年没後10年を迎え、再評価されつつある作家、星新一の作品に真鍋が描いた挿絵をご紹介します。