このたび、日本が誇る絵画と物語の総合芸術である絵巻の優品を展示いたします。
絵巻とは、物語を描いた絵を巻子(かんす)(巻物)に表装したもので、我が国において豊かな展開を遂げた美術の代表です。その画面はただ美しいだけではなく、いにしえの人々の切なる想いを今日に伝え、ときに奇想天外な物語や、絵と詞の絶妙なコラボレーションで見る者を楽しませます。
この展覧会では、明治三十年(1897)に開館し京都に関わる文化財を公開してきた京都国立博物館の企画協力を得て、同館の所蔵品および寄託品のうち奈良時代から室町時代までの国宝9件を含む名品26件、あわせて約150場面を展示いたします。
これらの絵巻は、美を好む宮廷の貴族によって集められたものや、高僧や社寺の物語を伝え洛中の神社仏閣で大切に護られてきたものばかりです。そのため本展は、京都という千年の都に咲いた伝統文化の精華をご紹介する絶好の機会になると言えましょう。
絵巻に焦点をあてた大規模な特別展としては九州で初めての開催となる「国宝 大絵巻展」。この展覧会を通じて美術と文学の織りなす魅力的な絵巻の世界を心ゆくまでご鑑賞いただければ幸いです。