1950年代に欧米で同時発生的に展開された抽象表現主義。アメリカのアクション・ペインティングやフランスを舞台に展開されたアンフォルメ等は、従来の絵画概念を払拭させる圧倒的なパワーで、当時の日本の若い芸術家たちに多大なる影響を与えました。
創造に駆り立てる芸術家の〈行為〉を前面に打ち出し、身体表現(パフォーマンス)に直結した百花繚乱の表現スタイルは、絵画表現の極限に挑戦するものであったといえましょう。
本展は奈良県立美術館所蔵の大橋コレクションから60年代の抽象絵画の一端を紹介するものです。
1978年に大橋嘉一氏のコレクションが寄贈されて今年で30周年。作品の多くはすでに半世紀の時を経ていますが、戦後の復興から高度成長経済期をまい進した当時の時代精神が反映されたものといえ、若い芸術家たちの息吹と、爆発する創造エネルギーは、今も新鮮な驚きを届けてくれることでしょう。
鋼鉄の絵画、足で描いた絵画、大砲で撃った絵画、動く絵画・・・。
あっと驚く絵画表現の数々をお楽しみください。