近年ますます注目されるようになった、制作の〈プロセス〉を重視するアートの流れにおいて、川俣正は国内外で欠かすことのできない重要な作家として評価されています。「参加型」、「領域横断」、ワーク・イン・プログレス」などといった現代のアートを語るためうえで欠かせない考え方を、30年も前から実践してきた第一人者が川俣正です。
東京都現代美術館では、彼の作品を収蔵をしていることもあり、これまでの同氏の仕事を振り返り、かつ今後の作家の展望も示すような展覧会を企画しました。
新しいプロジェクトとして実施されるのは、美術館を[通路]にすることです。[通路]は、場所と場所との中間領域や敷居、あるいは迂回路でもあり、接触領域(コンタクトゾーン)でもあります。通常は「貯蔵庫」「展示」といった機能が前面に出される美術館を、人々が行き交う[通路]としてみなすことで、どのようにその空間や機能を変容されるのでしょうか。
また、この[通路]というキーワードを手がかりに、過去30年にわたる学生時代からの川俣正の作品やプロジェクトを随所に配置します。そこには未完のプロジェクトや、これから始まるプロジェクトも含まれます。