今年は、20世紀最大の画家の一人であるマルク・シャガール(1887-1985)の生誕120年にあたります。シャガールは、ロシア生まれのユダヤ人で、フランス、アメリカ、メキシコで活躍します。パリに出て豊かな色彩感覚を開花させ、詩的で豊かな色彩表現と物語性をたたえたシャガールの絵画は、世界中の人々に愛と希望を与え続けました。
1922年頃から版画の制作を始め、その後生涯に渡って約2,000点にも及ぶ作品を残しています。はじめは銅版画を中心に取り組んでいましたが、第二次世界大戦後リトグラフも手がけ、鮮やかな色彩の作品を次々と生み出しました。
本展では、シャガールのリトグラフの最高傑作ともいわれる《ダフニスとクロエ》やシャガールの版画世界がより大きな広がりをみせた木版画《ポエム》や《サーカス》、《聖書》、《アラビアンナイトの四つの物語》の5つのシリーズ合計222点と、愛や生命への賛歌を奔放な描線と、踊る色彩で幻想的に描いたシャガールの絵画17点を一挙に展示します。また、画家と交遊のあったリトアニア生まれの写真家イジスが優しい眼差しで撮影したシャガールの制作風景や素顔などの写真約100点を特別公開し、知られざるシャガールに迫ります。