この展覧会は当館の新収蔵品となった、夢二作品約400点で構成される志田喜代江コレクションより、直筆日記や肉筆画を中心に紹介するものです。
竹久夢二(1884~1934)が活躍した明治末から大正は、電気の一般化、交通機関や都市施設の発展など自由でモダンな生活スタイルが確立した時でした。夢二は、この変動の時代に生活の文化的向上を訴え多方面で活動、当時の若者を中心に圧倒的な支持を得ました。甘美な美人画家という評価のみならず、本の装幀や楽譜の表紙絵、便箋や衣類などのデザイン、また、弱き立場の女性や子どもに寄り添い綴った叙情的な詩文を手掛けるなど、日々の暮らしを彩る美を総合的に演出した表現者でもありました。
本展では日本画、屏風などの「夢二式」肉筆画や、装幀著作、楽譜の表紙絵、祝儀袋の他貴重な書簡に加え、永遠の女性、彦乃への愛が綴られた直筆日記等により、芸術の絶対的な自由と生活との一体化を目指した、今もなお色あせることない竹久夢二の魅力に迫ります。