日本の自然や風物を、詩情豊かに表現して人気の高い川合玉堂の作品を、没後50年の節目に展示いたします。
50年前、玉堂の訃報に接した鏑木清方は、「日本の自然が、日本の山河がなくなってしまったように思う」と嘆きました。玉堂が描いた穏やかな日本の風景は、私たち日本人の多くが、どこかに置き忘れてきた日本の心を思いおこさせてくれます。
本展では、京都で望月玉泉や幸野楳嶺に円山・四条派を学んでいた頃の作品、橋本雅邦に師事した頃の狩野派の影響の色濃い作品、琳派や南画等さまざまな研究の後、晩年に至るまでを展観いたします。情趣豊かな風景画に加え、そこに生活する人々や動物を描いた作品、また書など、これまであまり紹介されていない作品も含め、当館所蔵作品の中から選りすぐってご紹介いたします。また、師である望月玉泉、橋本雅邦、弟子の児玉希望、孫弟子の奥田元宋、佐藤太清ら、ゆかりの作家たちの作品を含む約60点を展示いたします。
この度、玉堂美術館のご協力を得て、6曲1双の金屏風に描かれた≪紅白梅≫を、9月8日(土)から30日(日)まで特別展示いたします。この機会にぜひ皆様お誘い合わせのうえお楽しみいただき、川合玉堂の魅力を再発見していただければ幸いです。