20世紀中葉、前世紀から続く版画への関心の高まりと技術革新を背景に、画家のオリジナル版画による挿絵本は黄金期を迎えました。画家たちは有力画商の依頼を受け、また出版者や有能な刷り師らに支えられて版画特有の表現を追及、それぞれが独立した作品として成立する挿絵を生み出しました。ひとつのテーマをもとに制作された連作版画としての挿絵には、単独の版画とは異なる広がりや魅力を見ることができます。
ピカソは物語から離れて自由に描き、シャガールは登場する動物たちを彼自身の愛着深い動物たちに描きかえました。自らも文章を手掛けたレジェやマティス、物語と挿絵を一体化させたミロ、そしてドラン、コールダーら本展で紹介する7人の画家たちは、いずれも独創性あふれる挿絵を作り上げています。作品ができあがるまでの背景や物語のあらすじとともに、画家たちの物語の解釈、作画の工夫をお楽しみいただけることでしょう。
本展では、これらの作品約200点を、展示変えを挟み、2章に分けてご紹介いたします。7人の巨匠たちによる濃密な版画の世界にご期待下さい。
第1章10/6~11/4 第2章11/6~12/16