この企画は、2003年の夏、群馬県桐生市で、まったく偶然に二人が出会ったことから生まれてきました。互いの仕事に興味を持ち、作品を見せ合い、話し合う内に、背景も、仕事の内容も全く異なるにも拘らず、織物に対する考え方、姿勢、目指している方向がほとんど同じであることに驚きました。共に、地味であっても、簡素で美しく、使い良いものを作る事を目標に織物の仕事をしています。
ある時、それぞれの背景にある、英国と日本の伝統の中にある織物に話が及び、二人で一緒にそれらを見て話し合ったら面白いのではないだろうか、そして二人の知識と経験を合わせたら興味ある研究ができるのではと考え、そこから、それぞれの立場で作品を作ってみようということになりました。
両国の博物館等に収蔵されている多くの美しい織物の中から、二人が共に興味がある、無地や縞、そして格子に焦点を絞り、それらを見、考え、調べ、話し合いを続けています。それらの中に時代を超えて、少しも古さを感じさせず、現代の我々の心を打つものが数多くありました。現代の作品には無い、力強い美しさを持ったものも多く、また洗練されたデザイン等、想像していた以上に多くを学ぶ事ができました。そして我々が興味を持ったものの多くが、サンプルであったり、切れ端であったりで、博物館等で展示される機会がほとんど無く、目にすることが出来なかったことも分かりました。この作業は、今後も続けて行こうと考えています。
このリサーチから、あくまでも「シンプルで美しく、使う事ができ、それに耐えるもの」、「それ自体が目立ちすぎず、身に着ける人の心に染むようなもの」、これらの事の大切さを再認識し、それを目標に制作した我々の作品を皆様にご覧いただきたく、今回、日本民藝館の後援で、日本民藝館西館(旧柳邸)で展覧会を開催いたします。
その後、英国内他の巡回展を計画、準備しています。
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