近代サーカスは1770年頃に英国で生まれ、その後フランス、ドイツ、アメリカで様々なサーカス団が誕生しました。日本では1864年のアメリカのリズリー一座を皮切りに、各国のサーカス団が来日しました。日本の軽業芸人も海外で活躍するようになり、日本独自のサーカス団も結成され今日に至っています。
西洋では印象派作家が、サーカス芸人の生活に共感し、曲芸で見せる身体表現の造形的魅力を捉えた作品を制作しました。今回の出品作家であるピカソ、マティス、ルオー、シャガール、レジェ、クレー、ビュフェ、カルダーなどは、サーカス芸人に自分の姿を重ね、サーカスの世界に魅了された作家たちです。安井曽太郎、東郷青児、海老原喜之助、長谷川潔らがフランスに留学し彼らの作品に接して影響を受けました。また国内でも長谷川利行、川西英、恩地孝四郎、瑛九などがサーカスをテーマにした作品を展開しました。
本展では、9人の海外作家と18人の国内作家によるサーカス・イメージの作品約90点を紹介します。サーカスの虜になった作家たちの多彩な作品群を見つめることで、私たちもサーカスのテント小屋で繰り広げられる演技に惹き込まれ、楽屋で道化師たちに挨拶するという追体験ができることでしょう。