近年の中世考古学の進展によって、文字の資料だけでは分からなかった鎌倉時代から南北朝・室町・戦国時代にかけての社会や、人々の暮らしの様子が明らかになっています。広島県内でも数多くの中世遺跡が発掘調査されており、私たちの暮らす地域社会の歴史が次第に解明されてきています。
この企画展では、近年広島県内で発掘調査が実施された中世の出土資料を展示し、遺跡から明らかになった地域の歴史を紹介します。「もの」から人々の活動や、社会の歩みを明らかにする中世考古学の特質や、地中に埋もれた歴史を掘り起こしていく楽しさを実感していただきたいと考えています。
展示構成
第1章 中世を伝えるもの
文字に記された資料と、遺跡から掘り出された考古資料の特質を比較します。
第2章 中世考古学の方法
遺跡の発掘調査や、その後の分析・研究の方法を紹介します。
第3章 掘り出された遺跡
東広島市・鏡西谷遺跡、同・薬師城跡、同・御土居遺跡、尾道市・尾道遺跡、世羅町・三日市遺跡、三原市・三太刀遺跡、三次市・山崎遺跡、廿日市市・妙音寺原遺跡、安芸高田市・郡山大通院谷遺跡といった、近年実施された発掘調査の成果を展示します。
第4章 安芸と備後の中世
同じ広島県でも、東半の備後地域と西半の安芸地域とでは、出土遺物の状況が異なっています。出土資料によって、それぞれの地域の特色や、人々の交流の痕跡をさぐります。