当館のコレクションをさまざまな視点から紹介するシリーズの第5弾。
関西の戦後美術の紹介を続けてきた当館のコレクションから、第二次世界大戦後の関西で花開いた前衛精神の系譜をたどります。
敗戦後間もない時期から、新たな芸術の創造を目ざす作家たちは、グループを結成して自らの作品を世に問い始めました。四耕会、走泥社、パンリアル美術協会、デモクラート美術家協会、具体美術協会、現代美術懇談会などなど。次々に紹介される海外の動向にも反応しながら、独自の表現を模索する彼らの活動は、必然的に「前衛」の様相を帯びました。政治的左派の活動とも結びついた「前衛」という言葉自体は、時代を追って有効性を失ったとも言われますが、常に新たな表現の領域を切り開こうとする制作態度は、続く世代にも受け継がれていきました。出来事の作品化、実用を離れた陶による表現や、版によるイメージの解釈などへの取り組みは、形を変えながら新しい作品へと結実しています。
当館では、1983年から開催した「関西の美術家シリーズ」をはじめ、関西の戦後美術の紹介にも取り組んできました。それぞれの時代の美術家たちの問題提起を、収蔵作品を通してふり返ります。