土佐派の流れをくむ祖父川﨑千虎のもとで、幼少から大和絵を学んだ川﨑小虎(1886-1977)は、東京美術学校を卒業し、大正期には清新でロマン性に満ちた新しい大和絵で帝展に入選を続けました。なにげない風物や身近な植物などを好んだ小虎は、名誉や評価に恬淡とし、新しい日本画の開拓に向けて様々な試みを晩年まで続けました。また戦中から戦後にかけて4年間近く山梨県落合村(現、南アルプス市)に疎開し、近隣の風物を写生したり、出品作を制作して充実した日々を過ごしました。
東山魁夷(1909-1999)は1940(昭和15)年に小虎の長女・澄と結婚します。戦前は不遇な時期を過ごしますが、戦中に見た阿蘇連山の風景の奥深さに感動し、戦後、風景画家として生きる決心をします。その後は日本各地の風景や北欧、ドイツなどの風景、唐招提寺御影堂の障壁画などで高い評価を得て、国民画家とまで呼ばれました。
本展では小虎と魁夷の作品を中心に、祖父川﨑千虎、子の川﨑鈴彦、
川﨑春彦、孫の川﨑麻児の作品も展示されます。