村里や町はずれの古道にひそやかに佇む野の仏は、四季を問わず周りの景色に溶け込み、奈良・大和路の風景になくてはならない名脇役といえます。長い歴史の中で、風雪にさらされお顔や姿が判りにくくなった現在も、里山に暮らす人びとの生活に溶け込み、今なお大和の歴史とともに暮らしを見守り続けているのです。入江は、必ずしも華やかでない、侘しげな姿のなかに美を感じとり、あたたかい視線を向けて撮影してきました。
今回は、入江が撮影行で出会った路傍の石仏にスポットをあて、里山の風景とともに53点で展示構成しました。変わりゆく歴史の中で、人々の心の拠り所として生き続いている里山の仏たちを紹介します。