我が国と西洋画の初めての出会いは、キリスト教が伝来された16世紀後半まで遡ります。しかし、その後のキリシタン弾圧や鎖国政策により定着するまでには至らず、西洋画が再び認められるには蘭学を中心に洋書の輸入が解禁される18世紀後半まで待たなければなりませんでした。そして明治維新の大きな時代のうねりの中、日本の文化もまた転換期を迎え美術界にも激動の時代が訪れます。
当時、初めて見る西洋の写実的表現は文明開化の革新的なイメージとあいまって注目を浴び、官立の美術学校や画塾も開設されていきました。一方、国粋主義による圧迫も少なからず、主だった洋画家たちは明治美術会を結成して洋画排斥の風潮に対抗し、啓蒙・普及活動に力をそそぎます。
本展では、日本の美術界に新たな局面を開こうとした先駆的洋画家たちの奮闘振りを、開国前夜から激動の昭和初期にいたる時代の中にご覧いただこうとするものです。優れた初期洋画のコレクションで知られる山岡コレクションを中心に、司馬江漢から佐伯祐三まで、百有余の作品をご紹介いたします。