半世紀にわたりフランスで活躍を続ける洋画家、村山密の画業を回顧する展覧会です。渡仏後、藤田嗣治の知遇を得て、藤田の制作の現場を直接見る幸運にも恵まれた村山は、藤田の言葉で「パリで勉強するには、パリの街を知らなければならない。」とパリ中を歩きまわり、文化に親しんで多くの作品を描きました。今、「パリの日本人、そして日本のパリジャン」「日本人の心でフランスを詩う画家」などの称号が贈られ、パリの画壇の一角に、日本人の心で存在感を刻み続けています。
展覧会では、画家の愛したパリの街並みや、尾道市と芸術文化の交流を進めている、ノルマンディー地方の港町オンフルールなど、画家自身がフランス各地を取材した風景画など、初期から近年に至る画業を展望し、日本未発表の近作を併せて紹介します。この機会に、純然たる視覚の喜びを追い求めた、詩情あふれる村山の絵画世界をご堪能ください。