<趣旨>
生命の源であり、人々の生活を育む水は、美術の世界でも主要なモチーフとして数多くの作品に表現されてきました。形も色もない水を表現する芸術家の行為は、困難ながらも大きな可能性を秘めていますが、それは単に水を形作ることに留まるものでありません。水は恵みである反面、時には猛威を振るい、また、身近である一方で神聖なものでもあります。このような人間と水との関係は、芸術家達の心の奥に留まって、水を表現するとき陰に陽に表れてくるのではないでしょうか。この展覧会では、明治時代から現代にいたるまでの、日本画、洋画、工芸、現代美術など、約90点の作品を紹介しながら、芸術家たちの目と心を通して、我々にとって水とは何かを改めて考えてみたいと思います。
<見所>
雨や波など同じ水の姿を表現した作品でも、日本画と洋画の違い、時代や作家によってまったく表現が異なります。中には水がもたらす湿潤な空気まで感じさせる作品もあるなど、表現の多様性を見ることができます。同じモチーフの作品を同時に鑑賞することで、表現の豊かさ、面白さを実感できると思います。また、明治時代の絵画から、工芸作品、現代美術まで多岐にわたる作品が出品されますので、特定の時代・分野に留まらない、幅広い表現に触れる絶好の機会となるでしょう。