日本海から瀬戸内海・太平洋まで、じつに広域を誇るここ兵庫県では、現在、多くの陶芸作家たちが制作し活動しています。当館が立地する県内最大の窯業地である丹波立杭エリアをはじめ、磁器生産で有名な出石などでは、伝統を受け継ぎながら自らの表現を追求し、陶芸という造形世界の新たな地平を見出そうとしている作家の存在があります。また、伝統的な陶磁器の産地においてだけでなく、さまざまなかたちで土と出会い、新しい時代の流れの中で独自の表現を追求する作家たちの存在もみすごせません。
本展では、兵庫県内に制作活動の拠点を置き、近年、公募展や個展を中心に精力的な活動を展開している作家40名の作品を紹介します。伝統的技術に立脚した表現や、内的イメージにもとづく新しい色やかたち、時代を反映する社会的なメッセージなど、その表現は幅広く、日本全体の陶芸の現況を反映しながら、じつにさまざまな様相を見せています。本展が、いま、ここを生きる作家の真摯な表現に触れるきっかけとなり、さらに新たな陶芸の魅力を発見していただく機会となれば幸いです。