栃木の西、北、東の三方には、1000mをこす高い山々が連なっています。こうした地域のなかでも里に近い所は農業とともにクヌギやナラの木を伐採して薪や炭を生産し、その後に杉や檜を植林して建築材を生産する林業が営まれていました。一方、日光市栗山地区など北西部の奥山では、平坦地が少ない上に、厳しい気候のため農業はふるいません。主な現金収入源は、狩猟や木杓子、曲げ物、木鉢など木製品の生産で、自然の恵みを相手にした生活が営まれてきました。
ここでは、建築用材の生産をはじめ狩猟、炭焼き、木杓子作り、日光曲げ物作り等の用具を通して、また、「山の神」など信仰にまつわる道具を通して、山間部に暮らす人々の生活を紹介します。