漫画家であり、絵本作家である長新太(1927-2005)は、1950年代にコマ漫画でデビューし、その後、絵本作家としても活躍します。一方、原点である漫画やイラスト、さらにはエッセイなども発表し続けました。
絵本作家としては、400冊を超える絵本を発表し、『おしゃべりなたまごやき』(1959年)で文藝春秋漫画賞、『はるですよふくろうおばさん』(1977年)で講談社出版文化賞絵本賞、『キャベツくん』(1981年)で絵本にっぽん大賞、『ゴムあたまポンたろう』で日本絵本賞など数々の賞を受賞しています。教訓的な内容の絵本とは一線を画し、目の覚めるような激しい色彩とナンセンスな世界は、子どもはもちろんのこと、大人にも熱狂的なファンを持ちます。また、線描によるモノクロの漫画は、大人向けな内容が多く、長新太のむき出しのナンセンスが溢れ出します。
本展では、絵本、漫画にとどまらず、イラスト、エッセイとさまざまな作品を生み出し続けた長新太の仕事を振り返り、代表作や初公開の作品を含む約200点の原画を展示し、漫画の初版本や遺品から長新太の人間そのものの魅力に迫ります。